おっさんエンジニア

レガシー・サバイバル術 第6回:「レガシーを語る言葉が足りない」

〜システムの裏にある“想い”を言語化せよ〜

こんにちは、代表の片ケ瀬です。
レガシーを語るシリーズもいよいよ最終回。
今回のテーマは「語ること」。そう、システムの“背景”や“想い”を言葉にする大切さです。

📦 レガシーとは、技術ではなく「物語」

たとえばこんな設定を見たことありませんか?

ProxyPass /legacy-api http://10.0.0.5:8080/

なぜ必要?なぜポート8080?なぜ直アクセスNG?

技術的な説明はどこにもない。
でも、そこには“理由”と“背景”がある。

それが語られなければ、未来の誰かは触れず、理解できず、結局放置される。

🧠 言葉がないと、判断もできない

後輩「この設定、消していいっすか?」
自分「……いや、たぶん使ってないけど……怖いな」

→ そして誰も触らない。
→ 属人化が進む。
→ “レガシーの闇”が深くなる。

📝 ドキュメントに必要なのは「意図」と「背景」

✅ なぜそうしたかを書く

## なぜこの設定にしたか

2021年時点、/legacy-api を旧SpringBootサービスにリバースプロキシする要件があった。
2023年に廃止予定だったが、内部からの依存が消えず継続中。

✅ 歴史を書く

## スクリプトの由来

このバックアップスクリプトは、旧システムBからの移行時に作成。
当時の保守担当(山田さん)が、手動作業の代替として実装した。

✅ “迷い”すら書いてよい

## 備考

この設定、現時点で不要かもしれないが、削除した際に
一部APIが500を返した履歴あり。再確認後に削除要検討。

🧭 技術を“語れる”人がいる組織は強い

  • 設計思想を言語化できる
  • 背景を共有できる
  • 判断基準が継承される

それが、「人にやさしいレガシー」を生み出す第一歩です。

✊ レガシーは「語られる」ことで価値になる

コード・構成・スクリプトは見れば動く。
でも、それだけではなぜそうしたかは伝わらない。

設計意図がわかる。
経緯がわかる。
背景がわかる。
──だから安心して触れる。

📌 まとめ:レガシーの価値は、語られてこそ活きる

状態 語られないと… 語られたら…
Proxy設定 誰も触れない 安全に見直せる
スクリプト 作者不明で放置 改善できる
構成意図 誤解でリプレイス 正しく進化できる

🎁 レガシーとは、「残ったもの」ではなく「語り継がれたもの」

あなたの一言が、次の管理者の判断を助けます。
未来のインフラ屋が、あなたの設計を誇りに思えるように。

🎉 最終回あとがき:あなたこそが“語れる技術者”

技術は“動く”だけじゃダメなんです。
動く理由が説明できる。残す意図が語れる。
──それが、技術を超えて“文化”になる。

👋 最後にひとこと

「古い」じゃない、「語られた」から価値がある。
レガシーとは、そういうものです。

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