ログオンスクリプトの黄昏
〜.vbsと.batに祈りを込めて〜
🔮 「ログオンすればマウントされる」はずだった
ネットワークドライブは自動で繋がり、プリンタも勝手に設定される。
そう信じていた。Active Directory全盛のあの頃。
だが現実は──
- 「\\server01\share が見えない」
- 「部長だけマウントされない(なぜかOU違い)」
- 「ログオンスクリプトがそもそも実行されてない」
そんな毎日が、そこにはあった。
📜 .bat、.cmd、.vbs… 幻のログオン職人たち
ユーザーのログオンに合わせて、スクリプトが実行される。
その中身は、誰が書いたかも分からない謎の記述。
net use z: \\sv01\finance
rundll32 printui.dll,PrintUIEntry /in /n "\\print01\FUKUOKA1F"
cscript //nologo "\\dc01\scripts\cleanup.vbs"
そう、“動くかどうかは祈り”だった。
📎 GPOが全てを救う?──否
ログオンスクリプトの代替として登場したのが「グループポリシーによる設定」。
しかし:
- 「ドライブは繋がったけど遅い」
- 「GPOが適用されるのに15分かかる」
- 「ユーザーが複数OUにいる(なぜ?)」
GPOもまた“祈りの対象”になった。
💀 ログオン遅延の元凶と呼ばれて
ログオンスクリプトが遅延の原因として糾弾された時代もあった。
「ログオン遅いの、あの.batのせいじゃね?」
「いや、rundll32が止まってる。プリンタだな…」
スクリプトの一行が現場を止める。
管理者の心も止まる。
🧙♂️ 最後のログオンスクリプト職人たち
その仕事は、ほぼアートだった。
- 条件分岐で部署ごとのドライブ割り当て
- 時間帯で異なるメッセージ表示
- すべてecho offでログにも残らない
その技巧、その勘、そのログの見方。
今、誰が引き継げるのだろうか。
🌅 まとめ:スクリプトが照らしていたもの
ログオンスクリプトとは、ユーザーの「朝の始業」を支えるインフラだった。
見えないところで走り、静かに仕事を終える。
今ではIntuneやAzure AD、Endpoint Managerがその役割を担っている。
だが、“地味な.batに守られていた日々”が、確かにあった。
📝 完結に寄せて
これまで綴ってきた「レガシー・サバイバル術」および「伝説の商用ソフト列伝」シリーズ、いかがだったでしょうか。
「古い」ではなく「残った」ものたちに敬意を込めて。
レガシーは今日も、誰かの“朝”を支え続けています。
またいつか、レガシーの海でお会いしましょう。
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