おっさんエンジニア

Tivoli:魔T、すべてを支配しようとした者

〜運用、監視、資産管理、全部のせの果てに〜

🧠 はじめに:Tivoli、それは“統合”の夢

運用管理、ジョブスケジューリング、資産管理、アラート通知、バックアップ、パッチ適用、パフォーマンス分析…

全部を一つでやりたい!──そんな企業の夢を叶えようとした巨大なソリューションがIBM Tivoli(ティボリ)。

その登場は、希望だった。そして混沌の始まりでもあった。

🔄 コンソール地獄:どこから開けばいいの?

Tivoliは“統合管理”をうたっていたが、現実は違った。

  • Tivoli Enterprise Console
  • Tivoli Management Framework
  • Tivoli Monitoring
  • Tivoli Storage Manager

コンソールが多すぎて、「どこで何を操作するのか」が混沌

「あれ?それはFrameworkで設定しないと反映されないですね」

──と笑顔で言うベンダーの横で、運用担当は青ざめていた。

📋 エージェントだらけ:入れなきゃ始まらない

監視も制御も資産情報取得も、すべては「Tivoliエージェント」が起点。

だが、このエージェント、重い・多い・バージョン非互換の三重苦。

  • OSごとに別モジュール
  • アップグレードすると通信できなくなる
  • ファイアウォールで即死

「このサーバには入れられません」
という現場の声と、
「でもエージェント入ってないと見えません」というベンダーの狭間で、誰もが葛藤した。

🧩 魔界構成:全部できるけど、全部難しい

Tivoliの魅力は「何でもできる」だった。

でもそれは裏を返せば「何をするにも設計が必要」ということ。

  • ポリシー設定
  • リポジトリ構築
  • 監視ルールの定義

“Tivoli職人”と呼ばれる専門家が必要なほど、魔Tの操作は奥深く、クセが強かった。

📉 挫折と切り出し

導入時の理想:
「Tivoliで統一すれば、全社のITを一元管理できる!」

そして半年後の現実:
「監視だけZabbixに切り出しました」

あるいは、

  • ジョブはJP1へ
  • バックアップはArcserveへ
  • 資産管理はExcelへ

──“Tivoli大陸”は縮小し、いつしか「名前だけ残るシステム」と化していった。

👴 あるある:魔Tの残像

  • サーバに入って「tivoli」フォルダを見ると身構える
  • 何もしてないのにCPUが高い → 実はエージェント
  • イベントが連発して止まらない → フィルタミス
  • ログがどこにあるかわからない

そしてなにより、「誰も使い方を完全に把握していない」──それが魔T最大の“魔”だった。

🎁 まとめ:魔Tは壮大な“運用思想”だった

Tivoliは、運用を「管理すべきもの」として構造化しようとした先駆けだった。

理想は高すぎた。だがその理想があったからこそ、今の「監視設計」「運用設計」という言葉が生まれた。

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