Citrixの夢と幻、XenAppへの系譜
〜リモートアクセスの覇王、その後〜
🌅 Presentation Serverのその先に
MetaFrameの進化形「Citrix Presentation Server」が業務仮想化の常識を塗り替えた2000年代半ば──
その後継として現れたのが XenApp(ゼナップ)。Citrix社の英断により、製品名が「何をするものかよく分からない」時代に突入した。
🌀 XenApp、XenDesktop、そして混乱
XenApp:アプリ配信
XenDesktop:デスクトップ配信
──なのだが、仮想マシンがアプリだけを表示していたり、デスクトップの上にアプリが埋まっていたりすると、もはや境界は消えた。
- 「これってどっちで動いてるの?」
- 「VDIですか?RDSですか?XenAppです」
- 「あー、あのね、Citrixのやつです」
現場では「どれでもいいから動いてくれ」が本音だった。
🧩 Citrix StudioとDirector、二つの顔
XenAppからは「Citrix Studio」「Citrix Director」など、やたらモダンな名前の管理ツールが現れた。
- Studio:構成管理
- Director:監視とトラブルシュート
が、UIは激重、表示は英語、直感性は低い。そして
「Directorのログインが遅くて死にそう」
というSlackが全世界のCitrix管理者を駆け巡った。
⚡ HDX、ワンタイムパス、クラウド化
XenAppの功績は大きい。
- HDXプロトコルによる高精細描画
- SmartAccessによるコンテキスト制御
- マルチテナントやゼロトラストに耐える構成
だが、SAML、ワンタイムパス、FAS、NetScaler Gateway と、構成は年々複雑化。
VDI環境を「構築するのは好き、運用は地獄」と評される理由が、ここにある。
👴 あの頃のCitrixあるある:Xen編
- 「FASって何の略?」→ 誰も覚えてない(Federated Authentication Service)
- 「ログイン時に画面真っ黒」→ GPO地雷
- 「ReceiverとWorkspaceアプリが競合して地獄」
- 「NetScalerの証明書更新で全社アクセス不可」
🎁 まとめ:Citrixの夢は、今どこへ
XenAppはリモート業務環境の理想郷だった。帯域にやさしく、セキュリティは堅牢で、アプリの展開は一瞬。
しかしその運用と構築には、戦略、予算、根気、そして何よりCitrixへの深い理解が必要だった。
今、世の中はゼロトラスト、ブラウザベース、SaaS一強の時代。Citrixの立ち位置は変わりつつある。
🧭 次回予告:WTSとRDS、その先に何がある
ターミナルサーバという概念は消えたのか?MicrosoftとCitrixの夢と訣別、そして仮想化の次の一手へ──。
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